2025 年4月現在、首都圏のシステムエンジニアリングサービス(SES)市場は、デジタルトランスフォーメーションの加速、オンプレミス環境からクラウドへの移行、さらには生成 AI 実用化の進展を背景として、需要構造が再編されております。営業担当者の皆さまが適正な見積りを提示し、粗利益を確保するためには、領域別の最新相場を実証的に把握することが必須です。本稿では公開レポートと求人データベースを統合し、インフラ、アプリケーション開発、クラウド、セキュリティ、AI の五領域について月額単価レンジと案件量を定量比較いたしました。
データソース
エン・ジャパン株式会社/フリーランス市場月額単価の動向(2025年1月版)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001013.000000725.html
INSTANTROOM株式会社/フリーランス案件の単価における市場動向(2025年2月版)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000116595.html
パーソルキャリア「HiPro Tech」/ITフリーランス平均月額単価ランキング(2025年発表)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000801.000022215.html
レバテックフリーランス/単価相場データベース(Market Price)
https://freelance.levtech.jp/project/marketprice/
レバテックフリーランス/Go言語案件ページ(平均月単価 82 万円)
https://freelance.levtech.jp/project/skill-10/
Coeteco/開発言語別フリーランス平均単価(Python 平均 76 万円)
https://coeteco.jp/articles/14151
各資料から「中央値」「下限」「上限」を抽出し、中央値±25 %をレンジとして設定いたしました。掲載総案件数 46.8 万件を母数とし、案件量を相対比で上位 30 %を「多(◎)」、中位 40 %を「中(○)」、下位 30 %を「少(△)」に区分いたしました。
技術領域 | 月額単価レンジ(万円) | 代表的案件 | 案件量 |
---|---|---|---|
インフラ | 50 – 80 | サーバ・ネットワーク設計運用、データセンター移行、仮想化基盤更改 | ◎ |
アプリ開発 | 55 – 95 | Web システム刷新、モバイルアプリ開発、業務系再構築 | ◎ |
クラウド | 70 – 100 | AWS/Azure/GCP 移行、Kubernetes SRE、CI/CD 構築 | ○ |
セキュリティ | 65 – 95 | 脆弱性診断、SOC 設計、ゼロトラスト導入 | △ |
AI | 80 – 120 | 機械学習モデル開発、生成 AI PoC、データ分析基盤 | △ |
考察
「平均単価は上昇傾向」全職種平均月額単価は 75.5 万円。フルリモート案件の比率は 34.4 %に達し、リモート案件は常駐案件より平均で 1 万円高い水準を示している。
「クラウドおよびセキュリティ領域の急伸」クラウドエンジニアの平均単価は前月比で +5.5 万円(+6.6 %)、セキュリティエンジニアは +2.4 万円(+3.0 %)と顕著な伸びを示している。
「AI 領域が突出」機械学習/AI エンジニアの中央値は 104.6 万円であり、高度スキル保持者に対しては 120 万円を超える案件提示が常態化。
「言語別プレミアム」Go 言語の平均単価は 82 万円、Rust 言語は 82.2 万円とモダン言語が高水準を維持し、Python も 76 万円と高い水準に位置する。
「案件量と価格弾力性」アプリ開発とインフラ領域は案件母数が多く、価格弾力性が高い。一方で、クラウド、セキュリティ、AI 領域は母数が限定的であるため希少性により価格上昇圧力が強く働いている。